
<2026年1月25日>なぜM9級カムチャツカ巨大地震は73年で繰り返し発生したのか?
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2025/12/press20251209-02-Kamchatka.html
筑波大学、東北大学(遠田教授)らのグループ研究成果です。
1952年にマグニチュード(M)9級の超巨大地震が起きたカムチャツカ半島沖で今年7月30日、再びM9級の地震が発生しました。通常400年以上と言われるサイクルが僅か73年で発生したことになります。この地震学の常識を覆す発生間隔の短さの謎を解明するため、その破壊過程を精密に解析し、巨大地震が古典的な地震サイクルモデルでは説明が困難な挙動をしていることを示しました。73年間で蓄積されたすべり遅れ(約6m)を大きく超える9〜12mの大すべりが広い範囲で発生していたこと、さらに大すべり域の内部で断層すべりが2度加速していたことが明らかになりました。この2度の加速が生じた領域では、地震後にプレート収束方向とは逆向きの低角正断層型の余震が、プレート境界付近に集中して発生していることもわかりました。これは、本震時にオーバーシュート(断層すべりの行き過ぎ)が発生し、断層をずらす力が反転する現象が発生したことを示唆します。これらから研究チームは、1952年の地震で解消されずに残った古いひずみに、1952年以降のひずみが加わって蓄積され、それが2025年の地震でほぼ解放されたと結論づけました。
また、加えて本研究では、1952年と2025年の津波記録の比較解析も行いました。1952年のアナログ記録をデジタル化した津波波形と2025年の最新データを比較すると、発生後約1時間までの初期津波形が類似していることがわかりました。これは両地震の主要な津波生成域がほぼ同じであったことを意味します。本研究は、破壊物理の違いなどにより、巨大地震後に残留するひずみの量には大きな違いが生じ、結果として巨大地震の周期が乱れ、再来間隔が規則的でなくなることを明らかにしました。現実の巨大地震は、古典的な地震サイクルモデルでは説明が難しい複雑な挙動を示すということであり、南海トラフを含む世界の沈み込み帯で実施されている長期地震予測モデルに重大な示唆を与えるものです。
<2026年1月18日>今年の防災関係の動き
1.能登半島地震から2年、復興のフェーズ移行
1月1日で能登半島地震から丸2年が経過しました。今年は復興の段階が「瓦礫撤去・仮設住宅」から「本格的な再建・まちづくり」へと移ります。
課題: 公費解体はおおむね進んでいますが、人口流出(震災前から2割減など)や、なりわい(産業)の再生が深刻な課題です。
二重被災への対応: 2024年の豪雨災害との「二重被災」を受けた地域では、より長期的な支援が必要とされています。
2.【6月頃〜】新しい防災気象情報「危険警報」の運用開始
これが今年、私たちの生活に最も直接関わる変化です。梅雨や台風シーズン(出水期)から、避難情報の名前や仕組みが変わります。これまでの「土砂災害警戒情報」や「氾濫危険情報」など、名前がバラバラでわかりにくかった情報が、「危険警報(レベル4)」という名称に統一される予定です。「〇〇地区に危険警報」と出たら、「全員避難」の合図になります。これまで以上にシンプルで危機感が伝わりやすい名称になります。
また、これまで「大雨」などに限られていた「特別警報」(警戒レベル5相当)の対象が拡大され、「洪水」や「高潮」も加わる見通しです。
3.【年度内】「防災庁」の創設準備
国の行政組織として、「防災庁」の設置に向けた動きが本格化します。
司令塔の統合: これまで内閣府や国交省などに分散していた防災対応が一本化され、災害時の政府対応がよりスピーディーになることが期待されています。
事前防災の強化: 起きてからの対応だけでなく、「起きる前の備え(避難所の環境改善、インフラ強化)」に予算や権限が割かれるようになります。
4.トレンド:住宅・個人の「エネルギー自立」
防災テック(DX)の分野では、停電対策がさらに「日常化」します。新築住宅やリフォームにおいて、太陽光発電とセットで大型蓄電池(家丸ごとの電気をバックアップできるもの)や、電気自動車(EV)を電源として使うV2Hシステムの導入が、標準的な「防災装備」としてさらに普及する年になると思います。
<2026年1月11日>東日本大震災15年シンポジウム~他人事から自分事化へ
今年3月11日には東日本大震災から15年の節目を迎えます。
東日本大震災から10年の節目はコロナ禍により十分な検証の機会を持つことができませんでしたが、震災の教訓を風化させず、将来の災害への備えを強化するため、東北大学と読売新聞社の共催により「東日本大震災15年 復興・創生シンポジウム」を下記の通り開催する運びとなりました。本シンポジウムでは「他人事から自分事へ - 東日本大震災から15年、迫りくる巨大地震に私ができること」をテーマに、震災の経験と教訓を振り返り、復興・創生の現状と防災への課題を共有し、特に若い世代を含めた「自分事化」を促進する議論を行います。
・日時:2026年2月13日(金)13:00〜
・会場:イイノホール(東京都千代田区内幸町2-1-1)
・主催:東北大学、読売新聞社、国土技術研究センター、一般財団法人3.11伝承ロード推進機構
1. 基調講演「東日本大震災が残した最大の教訓とは? 出来たこと・課題に残ったこと」
御厨貴・東京大学先端科学技術研究センターフェロー
徳山日出男・一般社団法人国土技術研究センター理事長
2. 報告「復興・創生の現状と次への防災・減災の課題」
古橋季良・復興庁審議官
今村文彦・東北大学副学長
栗山進一・東北大学災害科学国際研究所所長
3.パネルディスカッション 一人ひとりの「自分事化」でつくる減災社会
ファシリテーター:福島洋(東北大准教授)
パネリスト:東北大・福島大・高知大・首都圏の大学からボランティア団体学生代表、ゲルスタ・ユリア(東北大准教授)
対面のみでありますが、是非御参加下さい。
参加の登録は以下になります。
https://yab-lp.yomiuri.co.jp/bousai2026/
<2026年1月4日>2026年を迎えて
2026年は、東日本大震災や熊本地震など過去の災害の「節目」となる重要な年です。また、災害対応の「司令塔」と位置づけられている防災庁が創設される予定です。
・東日本大震災から15年(3月11日):15年が経過し、震災を知らない世代が増える中で、伝承活動や震災遺構の保存やデジタルアーカイブ化(防災DX)の成果が問われます。また、ハード面の復興期間が終了に向かう中、被災者の心のケアやコミュニティ維持などソフト面の課題が挙がります。
・熊本地震から10年(4月14日・16日):熊本城の復旧進捗の確認や、創造的復興(Build Back Better)の検証が行われます。
・能登半島地震(2024年)から2年が経過:「半島防災の難しさ(孤立集落問題)」や「上下水道の耐震化の遅れ」に対し、具体的な対策(空路・海路アクセスの整備、自律分散型インフラの導入など)がどこまで進んでいるかが問われます。
・気象庁は2026年を目処に、線状降水帯の発生予測精度を現在の「府県単位」から、より狭い範囲で、かつ半日程度前から予測できる体制を目指しています。
・マイナンバーカードと避難所の連携も検討されていくと思います。避難所での受付や安否確認にマイナンバーカードを活用するシステムの全国普及が目標の一つとなっています。
・東北大学は、FUKUSHIMAサイエンスパーク浜通り拠点を今年後半に福島県浪江町に設置する予定です。
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2025/07/news20250710-fukushima.html