<2025年3月30日>仙台市の震災遺構「荒浜小学校」
2011年3月11日に発生した東日本大震災において、校舎2階まで津波が押し寄せ、大きな被害を受けた仙台市立荒浜小学校ですが、幸い犠牲者はおりませんでした。児童や教職員、住民ら320人が避難したその校舎を震災遺構として公開し、震災の教訓と地域の記憶を後世へ伝えています。校舎周辺と1階と2階で、校舎の被害状況や被災直後の様子を伝える写真などから、荒浜小学校を襲った津波の脅威を知ることができます。また、4階では、地震発生から避難、津波の襲来、救助されるまでの経過を写真や映像で振り返るとともに、災害への備えについて学ぶことができます。また、荒浜地区の歴史や文化、荒浜小学校の思い出なども紹介しています。さらに、屋上では、荒浜地区全体を見渡しながら、海との位置関係を見るとともに、被災前後の風景を比較することができます。
2023年1月に展示をリニューアルして再オープンしました。リニューアルのポイントとしては、4階教室を利用した展示室「明日への備え」に防災教育コーナーを新設、クイズ形式で防災知識を深められる展示を設置。災害への備えや発生時の対応を学べるアニメーションを流しています。天井にある津波のしぶきの跡や教室の天井に挟まったままの空き缶など、津波の爪痕を示すパネルを設置。震災前の荒浜地区や住民の暮らしをイラストで描いたパネルを設置しました。
https://www.youtube.com/watch?v=1J8sLAPN3sE
https://arahama.sendai311-memorial.jp
校舎周辺には、津波によって浸食された地形や破壊された住宅の基礎をありのままの姿で保存した「震災遺構仙台市荒浜地区住宅基礎」や、犠牲者追悼のために設置されたモニュメント「荒浜記憶の鐘」、震災前後の写真と歴史を刻んだモニュメント「荒浜の歴史」があります。また、地下鉄東西線荒井駅のせんだい3.11メモリアル交流館は、交流スペースや展示室、スタジオといった機能を通じて、みんなで、震災や地域の記憶を語り継いでいくための場所となっています。
<2025年3月23日>仙台市のTeam Sendai
https://www.facebook.com/p/Team-Sendai-震災記録チーム-100079519326878/
仙台市職員等の自主的研究グループ「Team Sendai」(ちーむせんだい)の活動を紹介したいと思います。職員同士の学び合いや市役所内外の人たちとネットワークづくり等を目的として、2010年9月に発足されました。その半年後に東日本大震災が発生しました。
当時、それぞれが災害対応業務に追われる中、自分の部署以外でどんな現場対応が行われているのかがわからず、先が見えない不安を抱える職員も少なくありませんでした。そこで、次の災害に備えるためにも、まずは、災害対応業務を体験した職員に話を聴こうと、翌年1月から聴き取り調査を開始されています。さらには、職員の体験を職員同士で聴き合う「語り部の会」等を開催し、伝承活動にも力を入れています。「冊子」「朗読」「映像」「クロスロードの問題」など、手法は様々です。特に、震災の未体験者でも疑似体験しやすいメニューで、イベントや研修会、自治体への出前講座等で紹介されています。
今年も1月に、震災の教訓を若手職員に伝える研修会を開催されました。
https://www3.nhk.or.jp/tohoku-news/20250122/6000030034.htmlß
おもに震災後に採用され、宮城野区役所に勤務している若手職員およそ20人が参加しました。はじめに震災直後に市役所に入庁し、いきなり避難所に派遣されて運営業務にあたったという職員がまとめた体験記を、入庁して1年目の女性職員が朗読しました。女性職員は朗読で「何をしていいかわからず、自分のふがいなさに落ち込んだ。避難所で被災者からいろいろなことを聞かれたが答えられないことが多く、苦痛だった。この経験をこれからの役所生活に生かしていきたい」と、同じ新人の立場であるみずからを重ねて詠み上げていました。
<2025年3月16日>いのちとぶんか社
2022年に設立された「いのちとぶんか社」は、「ぶんかでいのちを守る」をモットーに、災害時に役立つ防災の知恵を伝えるとともに、東日本大震災の事例や文化コンテンツを通じて、「自然と共生」をテーマに、これからの”生き方”を考えるきっかけをつくる活動を行われています。「和文化を社会的意義のあるものへ」を人生のモットーにしている
葛西啓之さん、葛西優香さご夫妻が代表です。葛西啓之さんはプロの和太鼓奏者、優香さんは、東日本大震災・原子力災害伝承館の研究員もされおり、2021年10月に福島県浪江町に移住されました。
昨年11月に、お二人に依頼されまして、防災講演会「逗子の防災・津波対策を考える!〜福島県浪江町の取り組みを事例に〜」に参加させていただいたことが縁になります。2部構成で、第一部で基調講演をさせて頂いたあとに、葛西優香さんコーディネートによる、鈴木曉さん(逗子市経営企画部防災安全課 課長)、上野幹一さん(浪江町市街地整備課 計画係長)と逗子での防災活動、福島浪江での復興状況などを話し合いました。第2部で、和楽器コンサート『和楽器で学ぶ「自然との共生」』が開催されました。
ある時は美しく、またある時は人間にとって脅威となる自然です。日本人は昔から自然の美しさと恐さを理解し、自然と共生するために様々な文化を生み出してきました。この防災講演会は、「人間と自然との共生」について感じ、考える時間を提供されました。
今後、葛西さんご夫妻と連携を進めていきたいと思っております。
<2025年3月9日>仙台市の「くらしともしもの研究所」のご紹介
仙台市災害文化創造事業の一環となっている取組です。この創造事業は、音楽ホール・中心部震災メモリアル拠点複合施設をめざした活動です。
https://www.city.sendai.jp/shinsaifukko/hukugoushisetsu/kentou/kentoujyoukyou.html
「くらしともしもの研究所」は、災害など「もしも」何かが起こった時でもしなやかに対応できる日々のくらしのあれこれを研究されています。
https://note.com/kurashitomoshimo
災害は誰にでも起こりうることと認識した上で、災害が起きても乗り越える術を持った社会文化を育むことをめざしています。いつ来るか分からない災害に、いつも備えておくのはとってもストレスになることがあります。いつもの楽しい時間でも、どこか頭の片隅に「もしも」のことを考え続けるのは大変なことです。そこで、日々のくらしを楽しくしていく工夫の中で、それが災害時にも役立つことはないか、災害など「もしも」何かが起こった時でもしなやかに対応できる日々のくらしのあれこれを研究しています。以下が、研究所の取り組み事例です。
①もしものときにもおいしいレシピ
長期保存のきく料理のレシピを公開。防災のためだけに食料を保存するのではなく、普段から「おいしい」と思える長期保存のできる食材や作り置きの料理を準備しておく、それが災害時にも役に立ちます。
②野外コワーキング
仙台フォーラス前のスペースを借りて、電気を使わないこたつに入って麻雀をする実験を行いました。
③のりっぱで遊ぼう
「のりっぱ」は研究所の近くにあるのり面の原っぱの愛称です。のりっぱで焚き火をしてみたり、身近にある自然の素材で工作をしてみたり、子どもが自由な遊び場を楽しめる場所を通じ、災害などの「もしも」に備えています。
<2025年3月2日>仙台防災未来フォーラム2025と世界BOSAIフォーラム2025
https://sendai-resilience.jp/mirai-forum2025/about.html
「仙台防災未来フォーラム」は、東日本大震災の経験や教訓を未来の防災につなぐため、発表やブース展示、体験型プログラムなどを通じて市民のみなさまが防災を学び、日頃の活動を発信できるイベントです。3月8日(土)に開催される今年度のテーマは、「一人ひとりが主役 ともに創ろう防災の輪」。東日本大震災からの復旧・復興に加えて、気候変動をはじめとした環境問題や水害など様々なテーマから広い意味での「防災」について知る・考えるプログラムを実施します。
また、3月7日~9日の3日間、仙台国際センターと緑彩館を会場に第4回「世界防災フォーラム」が開催されます。今回のテーマは「気候変動」で、災害リスクを減らすためにどのような行動をすべきか議論を通じて考えます。今回初の企画として「震災を伝える上映会~あの日を忘れない~」と題し、『生きる』と『ただいま、つなかん』の2本の映画を上映します。また、54のセッション、学生・若手による40のポスター発表、75の展示などあります。さらに、100年前の手紙プロジェクトがあります。
https://worldbosaiforum.com/project/letter-project/
関東大震災当時、アメリカでは西海岸を中心に日本人移民排斥運動の機運が高まっていました。一方で関東大震災における海外からの支援のうち、7割近くをアメリカが占めていたことをご存知でしょうか。100年前に全国の学生から寄せられた750通の返礼の手紙を調査しています。手紙をつづった学生の所属高校のリストも公開しておりますので、お心当たりの方はご連絡ください。いつ起きてもおかしくない、と言われている首都直下地震は、関東大震災と同じように首都圏を直撃します。災害時の国際支援についてより多くの人に関心をもっていただくことは、大規模災害に備える上でも、世界の平和を考える上でも重要だと考え、このプロジェクトを進めています。
<2025年2月23日>仙台BOSAIxTECHの活動について
https://sendai-bosai-tech.jp/about/
仙台市は、東日本大震災の経験をもとに、「BOSAIxTECH」をキーワードに、防災×テクノロジー×ビジネスを融合した新たな防災課題の解決策を持続的に生み出す場(プラットフォーム)を形成しました。2022年2月に設立され、会員同士が連携しながら、アイディア創出や試作開発・実証実験のサポート、ビジネスマッチング、情報発信、交流会など多岐にわたる活動を実施しています。現在の会員数は267になります。企業の方には防災現場のニーズ収集や製品開発の支援、自治体の方には実証実験の視察体験や情報共有の機会を相互に提供し、学術機関の方には専門的な知見をいただくなど、各関係者が一体となって、新たな防災ソリューションの創出に取り組んでいます。技術的な制約や収益性の課題でこれまで実現が難しかった防災課題にも取り組み、ここから生まれた事業を仙台から全国、世界へと展開していきます。このプラットフォームを通じて、「仙台防災枠組」が掲げる理念の実現と、防災関連産業の発展の両立を目指します。
以下、実証実験事例を紹介します。
①垂直測位技術を活用して、消防隊員の屋内位置把握に関する実験を浜松市にて実施/要救助者の安全確保のみならず、救急隊員の安全確保や的確な位置把握が重要課題。
②現場の職員からの災害情報を「無線」と「地図」で可視化/多賀城市とミライエ・デジタスが共同開発。
③ジオラマ×デジタルによる防災接点の「身近」化に関する検証/ジオラマをプロジェクションマッピング、ARの技術を掛け合わせることで、防災以外の様々な関心や動機の入口から、防災関連コンテンツに触れる機会を創出する。
<2025年2月16日>震災アーカイブとJAPAN SEARCHについて
https://www.shinrokuden.irides.tohoku.ac.jp/symposium/20250111/
https://www.bousai.go.jp/kaigirep/kentokai/daikibosaigai_jyouhou/pdf/dai1kai/siryo3.pdf
国内外に分散する東日本大震災の記録等を、国全体として収集・保存・提供している国会図書館による【ひなぎく】は東日本大震災後に設置され、当時の記録等を国内外に発信するとともに後世に永続的に伝え、被災地の復興事業、今後の防災・減災対策、学術研究、教育等への活用に貢献しています。東北大学災害科学国際研究所の「みちのく震録伝」などと連携し、活動を推進しており、毎年、震災アーカイブシンポジウムを開催しています。今年は1月11日に『残すべき「記録」と「記憶」』というテーマで開催されました。
さらに、国立国会図書館は、日本全国のデジタルアーカイブと連携し、さまざまな分野のコンテンツを検索・閲覧・活用できるプラットフォーム【JAPAN SEARCH(ジャパンサーチ)】を開設し運営しています。ジャパンサーチは、書籍・公文書・文化財・美術・人文学・自然史/理工学・学術資産・放送番組・映画など、我が国が保有する様々な分野のコンテンツのメタデータを検索・閲覧・活用できるプラットフォームです。すべてのデータベースを横断してキーワード検索する「横断検索」、「画像検索」、「楽しむギャラリー」やジャパンサーチで見つけたお気に入りのコンテンツのブックマークを作成する機能「マイノート」など、さまざまな魅力的な機能を持っています。
ジャパンサーチ
<2025年2月9日>地震調査委員会 地震長期評価の更新
https://www.jishin.go.jp/evaluation/long_term_evaluation/chousa_25jan_kakuritsu_index/
1995年の阪神淡路大震災を契機に、政府の地震調査委員会の長期評価部会は1997年に検討委員会を設置し、日本各地の活断層や海溝型地震を対象に長期的な地震の発生確率を試算し、その結果を年1回公表しています。今年は1月15日に公表されました。宮城県沖で想定されるマグニチュード7.4前後の大地震の30年以内の発生確率を前年の「70%~80%」から引き上げ「70%~90%」としました。
宮城県沖や三陸沖での地震は、海溝型地震に分類され、数十年から数百年という短期間で地震を繰り返すのが特徴です。特に宮城県沖地震の平均発生間隔は約37年で、領域も含めたエリアで、2011年3月11日に東北地方太平洋沖地震が発生しています。宮城県沖地震は発生間隔が短いため、1年当たりの発生確率の上がり幅が大きくなると述べています。
ここでの地震確率による推定では、過去に発生した地震の発生間隔の平均から確率を割り出す計算方法「単純平均モデル」が用いられていますが、南海トラフ地震については、過去の地震の時期の間隔を推定して次を予測する「時間予測モデル」が使用されます。時間予測モデルでは、大きな地震の後では次の地震までの間隔が長く、小さな地震の後では間隔が短くなるという理論が用いられます。つまり、前回の地震で解放されたひずみが大きいほど、次の地震が起きるレベルまでひずみが溜まる時間が長くなるという前提です。
https://www.jishin.go.jp/resource/terms/tm_time-predictable_model/
<2025年2月2日>津波が港湾ネットワークにもたらす影響
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20240106_01_network.pdf
東北大学での最近の津波研究成果を報告させて頂きます。シンガポールのナンヤン工科大学の博士を取得した後に津波工学研究室の研究員として活動しているチュア・コンスタンスさんの研究成果です。津波が世界の港湾ネットワークに与える影響を、地球温暖化による海面上昇も考慮して包括的にリスク評価する手法を新たに開発しました。マニラ海溝津波が発生すれば東日本大震災時より経済損失が大きい可能性も出てきました。
マニラ海溝での巨大地震・津波シナリオを用いて分析したところ、現在の海面水位では最大11港湾が被害を受ける一方で、地球温暖化による将来の海面上昇時には最大15港湾が被害を受ける可能性が示されました。港湾は海面水位の大きな変動に弱く、港湾が機能を停止するとその港湾が航路に含まれるネットワーク全体に影響が及び、海運業は深刻な打撃を受けて大きな経済損失となることがあります。東日本大震災の際、津波が港湾や船舶に与えた経済被害は最大1兆8,000億円にのぼり、港湾の機能停止により1日5,100億円の海上貿易の損失が数カ月間にわたり生じたと推計されています。しかし、これまでそのリスク評価は十分になされていませんでした。世界の港湾ネットワークの位相、港湾同士の接続性、地球温暖化による海面上昇等を考慮して、津波が港湾および世界の港湾ネットワークにもたらすリスクを包括的に評価する手法を開発したことになります。さらに、新たな指標「媒介中心性変化率」を導入し、津波で影響を受けにくい港湾の機能を評価して代替港湾を示すことも可能にしました。この研究成果は、2024年12月4日、npj Natural Hazardsという学術誌に掲載されました。
<2025年1月26日>宮崎県日向灘沖での地震と津波
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250113/k10014692181000.html
https://mainichi.jp/articles/20250114/k00/00m/040/184000c
1月13日夜、日向灘を震源とする地震が起き、宮崎県で震度5弱の揺れを観測したほか、宮崎県と高知県に最大で20センチの津波が到達しました。この地震で、気象庁は南海トラフ地震との関連を調べるため評価検討会を開きましたが、巨大地震の可能性が平常時と比べて相対的に高まったとは考えられないとして調査を終了しました。長周期地震動の「階級2」(4つの階級のうち上から3番目の揺れ)が宮崎県宮崎市と小林市と熊本県人吉市で観測されました。
気象庁は当初、津波の心配はないとしていましたが、地震発生の10分後に一転して高知県と宮崎県に津波注意報を発表しました。実際に宮崎県で最大20センチ、高知県で同10センチの津波が観測されました。気象庁は「再評価によって事後的に津波注意報などを出すことはある。油断せず継続的に最新の情報を確認してほしい」と呼びかけています。ただ、津波注意報の有無は住民の避難行動に大きな影響を与え、発表が遅れれば逃げ遅れる危険性は高まります。今回、津波が宮崎港(宮崎市)に到達したのは注意報のわずか7分後でありました。なお、津波注意報は13日午後11時50分にすべて解除されました。
今回、地震の波形の振れ幅から地震の規模を計算したところ、当初マグニチュード6.9と推定され、南海トラフ地震との関連について調査する条件の6.8を上回ったことから、専門家からなる評価検討会を開きました。評価検討会が開かれたのは去年8月の日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震以来、2回目です。専門家らが国内外のデータをもとに検討した結果、震源は南海トラフ地震の想定震源域の西の端にある陸側と海側のプレートの境界で起きた一方、地震の波形全体から求めたマグニチュードは6.7と、巨大地震への注意を呼びかける7.0に達していませんでした。このため気象庁は、巨大地震が起きる可能性が平常時と比べて相対的に高まったとは考えられず、特段の防災対応を取る必要はないとして、地震からおよそ2時間半後に調査を終了しました。その後、地震の波形の振れ幅から計算したマグニチュードは6.9から6.6に更新され、震源の深さは36キロと変更になりました。
<2025年1月19日>阪神・淡路大震災から30年
1月17日で阪神・淡路大震災から30年が経ちました。直下型の地震が発生し、突然の強い揺れにより耐震性の低い多くの建物が倒壊、6000人を超える方が亡くなり、けがをした方も4万人あまりになります。当時の人命救助・救出活動の状況から、自助7割、共助2割、公助1割と言われたように、住民1人ひとりが自らの身を守るための知識を持ち、災害時に行動することの重要性を理解することが求められました。さらに、共助として地域住民同士のつながりを強め、助け合う意識を育てることが大切で、地域の防災力の向上には、コミュニティが災害に備えるための自主的な防災訓練や対策の重要性が強調されました。また、発災当初から復旧、復興の段階で、ボランティアが重要な役割を果たしました。被災地には1年で130万人、延べでは少なくとも480万人ものボランティアが駆けつけました。その後、1月17日が「災害ボランティアの日」に制定されました。加えて、建築基準の見直しや耐震補強の必要性が示され、耐震性を高めるための法律やガイドラインが整備されました。さらに、地域防災計画の重要性が指摘され、地震発生に備えた地域ごとの防災計画を策定し、実行することが必要になります。
1月15日に日本学術会議でシンポジウムが開催され、報告を行いました。30年が経過した阪神・淡路大震災に加えて、2024年に20年を迎えた新潟県中越地震、2011年の東日本大震災という3つの震災を取り上げて、当時の経験や教訓がどのように残され、伝えられていったのかを、過去から未来へ繋ぐ災害教訓のバトン・リレーとして整理しました。一人の人間が災害を何度も経験することは必ずしも多くありませんので、時間の経過とともに忘却が始まりますし、災害対応を経験した個人・地域は世代交代し、組織の人員は更新されてしまいます。したがって、効果的な災害対応を行うためには、過去の災害における経験を家庭・地域や組織の中で継承し、活かしていくことが重要であると伝えました。
<2025年1月12日>防災の国際標準化について
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2024/12/press20241219-01-bosai.html
2015年3月の国連防災世界会議で「仙台防災枠組2015-2030」が採択され、防災・減災を加速させる必要がある中で、産業界でも防災・減災を適切に進めるための信頼できる規格が必要とされています。この中で、経済産業省による「戦略的国際標準化加速事業」として、東北大学が中心となり、2019年から我が国における防災・減災の規格開発のための調査・研究が始まりました。第2回世界BOSAIフォーラムで、この議論が行われました。その後、2020年に国際規格の専門委員会で防災に関するワーキンググループ(WG6)を設置、2022年7月には災害の種類や防災に活用されるインフラの種類、活用分野、機能などを議論し、まとめた技術報告書が発行されました。
そしてこのたび、「インフラ、スマートコミュニティ」の原則と基本要件をまとめた『防災概念の国際規格』ができあがり、2024年11月にISO 37179“防災に貢献するスマートコミュニティインフラストラクチャーの原則と一般的な要件”として発行されました。国内外で高まる災害リスクを事前に軽減すること、災害後に速やかに回復すること等を目指し、スマートコミュニティおよびそのインフラストラクチャーに備えておくべき基本的な「防災概念」の国際規格(ISO)が発行されたことになります。規格には「ステークホルダーの参画」「科学的根拠」「ハード対策とソフト対策の組み合わせ」などの原則が盛り込まれており、コミュニティ開発・計画立案者、資金やサービスの提供者、インフラスなどの管理者などが利用することを意図しています。防災・減災における2030年までの達成目標を定めた国際アジェンダ「仙台防災枠組2015-2030」の考え方を踏まえて作成された規格です。今後、災害リスクを軽減し、コミュニティとそのインフラの回復力を強化することを目指し、開発・計画立案者、資金やサービスの提供者やインフラなどの管理者などに活用されることが期待されます。国内外の防災に関するインフラ製品・サービスの設計、実装の質向上が見込まれます。
<2025年1月5日>2025年を迎えて
元日で能登半島地震から1年が経過しました。以下が今議論されている課題です。
・状況把握の困難性や孤⽴集落発⽣等の地理的特徴や社会的特性を踏まえた災害応急対応や応援体制の強化・⾼齢化地域における災害関連死防⽌のための避難⽣活環境の整備等の被災者⽀援の強化・甚⼤な被害やリソース不⾜を踏まえたNPOや⺠間企業等との連携の強化・将来の⼈⼝動態等の社会的特性を踏まえた事前防災や事前の復興準備、復旧・復興⽀援の推進などです。
1月17日は阪神淡路大震災30年。この震災を引き起こした兵庫県南部地震は都市直下型だったため、強震による密集地域での建物や社会インフラの被害が深刻でした。また、地震頻度が相対的に少ない地域での突然の震災であり、人命救助、緊急対応や復旧の過程で多くの課題を残しました。これが、教訓として多くの資料に残されています。このほど、『阪神・淡路大震災から東日本大震災へ——経験・教訓のバトン・リレー』というタイトルで寄稿させて頂きました(岩波月刊科学)。関連のイベントとして、1月15日、日本学術会議でシンポジウムが開催されます。
3月7-9日は第4回世界BOSAIフォーラムが開催されます。このフォーラムは、東日本大震災を経験した東北の地で、災害で悲しむ人々をこれ以上増やしたくないという願いを込めて始まりました。スイスの防災ダボス会議と連携し、国内外から東北・仙台に産・官・学・民の多様な人々が集まり、「仙台防災枠組2015-2030」の実施を推進します。
3月8日、東北大学川内萩ホールを会場に、東日本大震災語りべシンポジウム「かたりつぎ~朗読と音楽のとき〜」が開催されます。
朗読:竹下景子 演奏:谷川賢作 映像:清水大輔(タイムラプスクリエーター)
https://www.shinrokuden.irides.tohoku.ac.jp/symposium/kataritsugi2024/