
<2026年6月14日>アジア太平洋防災閣僚級会議の実行委員会開催
仙台市で日本初開催となる「2027年アジア太平洋防災閣僚級会議」に向け、実行委員会の設立総会および第1回委員会が5月26日に開催されました。郡和子仙台市長が会長、本学の冨永悌二総長が副会長に就任、地元の関係機関や有識者を交えた推進体制がスタートしました。
アジア太平洋地域の約60カ国から、防災担当閣僚、NGO、研究機関、民間企業などが一堂に会する国際会議で、2015年に仙台市で開催された「第3回国連防災世界会議」で採択された「仙台防災枠組2015-2030」の終期(2030年)を目前に控えた、極めて重要なタイミングでの開催となります。仙台市まちづくり政策局内に設置された「アジア太平洋防災閣僚級会議準備室」が中心となり、国(内閣府)や国連防災機関(UNDRR)との実務調整、公式ホームページの作成に向けた調達手続きなどが順次進められています。
実行委員会では、市民や事業者を巻き込んだ関連イベントの企画、海外からの参加者を迎える「歓迎事業」の立案、情報発信を通じた開催機運の醸成を本格化させています。「より良い復興(Build Back Better)」の共有として、東日本大震災の経験・教訓や、近年の大規模災害からの復興の取り組みを世界へ向けて改めて発信するとともに、日本の優れた先端防災技術やノウハウを、アジア太平洋地域のリーダーや民間セクターに直接共有・提案する場となります。
<2026年6月7日>「フタバスーパーゼロミル」の取り組み
「スーパーゼロ(SUPER ZERO®)」(商品登録)は、岐阜県の老舗撚糸メーカーである浅野撚糸株式会社が開発した、世界初の特許技術による「魔法の撚糸」です。廃業の危機に立たされた町工場が、歳月をかけて完成させたこの技術は、日本の撚糸業の起死回生をかけた「闘い」の結晶と言えます。二代目社長の浅野雅己氏は、下請け脱却を目指し、10年にわたる苦闘の末に自社ブランドを確立させました。そして、東日本大震災後には福島復興への挑戦が始まります。
経産省から「福島復興と日本の繊維を助けてほしい」と打診を受け、全町避難が続いていた双葉町を視察されました。伊澤町長からの「双葉は一番復興が遅れている。それでもここに来てほしい」という熱い言葉に心を打たれ、最も困難な地での挑戦を決めました。
浅野社長の母校がある福島県への恩返しとして、2023年4月に福島県双葉町へ新工場「フタバスーパーゼロミル」を建設し、地域復興のシンボルとしても注目されています。約30億円を投じて建設されたフタバスーパーゼロミルはシンボリックな外観が特長的で、上空から見るとSUPER ZEROの文字と「0(ゼロ)」の形をした建物は、震災で失われたものを「ゼロから再生する」という決意の象徴で、単なる製造拠点を超えた「産業観光の拠点」となっています。交流人口の創出として、年間50万人の来場を目指し、工場見学、タオルショップ、カフェを併設しています。雇用の創出にも貢献しています。地元の高校生や大学生、移住者を採用し、町に新しい活力を生み出しています。5月の連休に訪問させていただきましたが、多くの方々が訪問されていました。
https://www.reconstruction.go.jp/jireishuu/2023jirei/24/
<2026年5月31日>朗読劇「10年後の君へ2026」
仙台市出身の俳優、岩田華怜さんが自ら企画・脚本・演出・主演に挑戦する朗読劇が再演されます。震災から15年が経った今、改めて伝えたいこと、世界に向かって叫びたいことが詰まった作品になります。華怜さんは100回以上の被災地訪問で見たり聞いたり体験したことをメモに書き留めており、脚本を書き上げたそうです。自身の被災体験を元にリアルな感情が描かれており、「涙が止まらなかった」「胸を打たれた」といった絶賛の声が多数寄せられています。国内での大成功を経て、昨年には海外進出を果たしました。現地でも大きな反響を呼び、「被災地代表」として自身の想いを海を越えて伝える活動が各メディアで注目を集めています。
「10年後の君へ」の紹介文より
【今を生きる私たちが、忘れてはいけないことは何か。震災を知らない世代が高校生になる、この2026年に、今一度、自分の命を守ること の大切さを知って欲しい。自殺願望を持った若者が増え続ける日本で、”当たり前に明日が来る”ってどんなことなのか。 「我々が生きている今日は、あの日亡くなった人たちが生きたかった今日なんだ。」と、震災の経験を通して、子供達に、すべての人に、私は伝えていきたいです】
東京公演は,6月3日から7日まで,6月14日に名取公演(名取市増田公民館)および6月20日に栗原公演(栗原市文化会館)が予定されています。
<2026年5月24日>島根県石見(いわみ)地方を襲った「万寿地震津波」について
万寿3年(西暦1026年)に発生したこの津波から、2026年でちょうど1000年という大きな節目を迎えます。この地震は、日本海側で発生した歴史地震の中でも非常に謎が多く、かつ象徴的な事象として知られています。
発生日:万寿3年5月23日旧暦
場所:石見国(現在の島根県西部・益田市周辺)
特徴:「地震の揺れ」に関する記録が乏しい一方で、「巨大な津波」の伝承や記録が圧倒的に多いのが特徴です。そのため、揺れのわりに津波が大きい「津波地震」であった可能性や、海底地滑りが原因だった説などが議論されています。
この津波には、歴史ファンや地質学者の心を捉えて離さない「鴨島(かもしま)伝説」があります。益田沖にあったとされる「鴨島」という島が、この津波によって一夜にして海に沈んだという伝説です。また、歌聖・柿本人麻呂を祀った「人丸寺(にんがんじ)」が鴨島にあり、津波で流されたものの、御神体が現在の高津柿本神社がある地へ流れ着いたと伝えられています。
近年のトレンチ調査(地層の掘削調査)により、益田平野で11世紀頃の津波堆積物が実際に確認されており、伝説が単なる作り話ではないことが証明されつつあります。
2026年の1000年紀を前に、島根県や益田市では改めてこの万寿津波の教訓を現代の防災に活かそうとする動きがあります。日本海側の津波リスクは太平洋側に比べて頻度は低いものの、日本海側でもひとたび地震が起きれば数分〜十数分で巨大津波が到達する恐れがあることを、この歴史的事実は物語っているからです。1000年前の被災を「遠い昔の出来事」とせず、次の千年を守るための知恵として再確認する時期が来ていると言えます。
<2026年5月17日>災害と映画・映像について
東日本大震災をテーマにした映画は、震災の記憶を風化させず、被災地の再生や個人の喪失と向き合う作品が多く制作され、防災の面でも重要な活動となっています。代表作として、福島第一原発事故の現場を描いた『Fukushima 50』(同発電所の事故が発生した後も残った約50名の作業員に対し、欧米など日本国外のメディアが与えた呼称)、岩手県大槌町の「風の電話」(故人と「話す」ための受話器だけの電話ボックスで震災後に多くの遺族らが訪れる場所)をモチーフにした作品、遺体安置所での日々を描いた『遺体 明日への十日間』(岩手県釜石市の遺体安置所での現状をありのままを綴ったルポルタージュ『遺体 震災、津波の果てに』を実写映像化した作品)などがあります。
そして、『最後の乗客』(2023年制作/2024年公開)は、東日本大震災からおよそ10年を経た被災地を舞台にした自主制作映画で、この番組に堀江貴監督にもご出演いただきました。さらにアニメ作品もあり、代表的なものは新海誠監督による「すずめの戸締まり」 (2022年)で、被災地を巡る物語でした。
関連の新書【災害と映像―防災ドラマは社会を救えるのか】をご紹介します。著者の安本真也氏は災害情報や避難行動を専門とする研究者であり、東日本大震災後の「災害映画」におけるリスク描写や、災害情報の受け止め方について研究を行っています。この本ではメディアが描く避難行動と実態の乖離や、防災啓発としての映画の役割を分析しています。 映像表現は人々をどう動かすのか?災害映画が描く喪失の「受容」、また防災ドラマが導く大災害への「備え」の可能性は?等です.また、後半ではNHKの防災ドラマ『パラレル東京』をめぐる大規模追跡調査から、視聴者の認知と行動がいかに変化したのかを検証した内容です。この『パラレル東京』はマグニチュード7.3の首都直下地震が発生したとの想定で、地震発生から4日間のテレビ局のニュースチームの闘いを描いています。
<2026年5月10日>「FUTATABI FUTABA FUKUSHIMA」の開業
福島県双葉町に、リトリート型ホテル「FUTATABI FUTABA FUKUSHIMA(ふたたび ふたば ふくしま)」がオープンします。
https://www.futatabi-futaba-fukushima.com
ホテルのコンセプトや名称には以下の3つの願いが込められています。
•再生:双葉の自然や産業を、ふたたび取り戻したい。
•再会:この町や人の魅力と、ふたたび出会いたい。
•再訪:ゲストに、ふたたび訪れたいと思ってほしい。
“自然”と“記憶”の再生をテーマにした空間とともに、心と身体を整えるための多彩な施設を備えています。国産木材の温もりに包まれるスパエリア、約2,000冊(予定)の蔵書が並ぶライブラリー・カフェ、地元の旬の恵みを味わえるオールデイダイニング、そして四季の移ろいとともに表情を変えるビオトープ。これらの施設は、日常からそっと距離をおき、心静かに自分と向き合う時間をゲストに提供します。
このホテルは「東日本大震災・原子力災害伝承館」や先日開園した「福島県復興祈念公園」に隣接しており、遺構である浪江町請戸(うけど)小学校も近くにあるなど、地域の再生と交流の拠点としての役割を担います。6月1日にオープンしますので、是非、訪れていただきたいと思います。
<2026年5月3日>ペット防災の強化へ ガイドライン改訂に向けて検討進む
東日本大震災から15年が経過する中、災害時にペットと飼い主をどう守るかが改めて課題となっています。環境省では、過去の大規模災害の経験を踏まえ、自治体等が地域の状況に応じた人とペットの災害対策を検討する際の参考となるよう、平成30年に「人とペットの災害対策ガイドライン」を策定し周知を図ってきました。さらに、今年3月2日には「人とペットの災害対策ガイドライン」の改訂等に係る検討会(第4回)が開催され、改訂を検討しています。
https://bousailog.com/news/20160316/
改訂版は主に自治体が活用することを想定しつつ、地域団体や飼い主にとっても参考になる内容となっています。特に重要なのは、「同行避難」と「同伴避難」を明確に区別した点です。同行避難は、一緒に避難所まで逃げることです。ただし、避難所内では「人間とペットの居住スペースは別(屋外テントや専用の別室)」となるのが一般的です。一方で同伴避難は、避難所内で人間とペットが同じ空間(同室)で過ごすこと。多くの飼い主は「同伴避難(同じ部屋で過ごせる)」をイメージして避難所へ向かいますが、実際には別々の場所で管理されるケースが多く、「それなら可哀想だから」と避難所への受け入れを辞退してしまう事態が多発しています。最近は、「ペット同伴専用の避難所」をあらかじめ確保したり、動物の専門学校やペットホテルなどと災害時の受け入れ協定を結んだりする動きが出てきています。さらに、民間支援の拡大NPO法人やボランティア団体が、被災地にペット用テントやキャンピングカーを派遣したり、仮設住宅での生活に向けた「しつけサポート」を継続的に行う活動も活発になっています。公的な支援には限界があるため、災害時にペットを守れるかどうかは「飼い主の日常の備え」にかかっています。
<2026年4月26日>三陸沖を震源とする地震・津波について
4月20日に発生した三陸沖を震源とする地震と津波について紹介いたします。
地震の発生日時は4月20日 16時52分頃、震源地は三陸沖(宮古の東約100km付近)で、昨年11月9日に発生した地震のすぐ北側になります。マグニチュードは7.5(速報値)から7.7になりました。ただし, Mw(モーメントマグニチュード)という定義では7.4になります。震源の深さは約10kmから19kmに変更になりました。最大震度は青森県階上町で5強、八戸市、岩手県宮古市、宮城県登米市・涌谷町などで震度5弱を観測しています。地震の影響で東北新幹線が運休、在来線でも運休が相次ぎました。また、JR仙石線の矢本駅〜石巻駅間で、地震の影響とみられる踏切付近での道路陥没が確認され、列車の運転に影響が出ています。
震源が浅く、地震の規模が大きかったため、北海道から東北地方の太平洋沿岸を中心に津波警報および津波注意報が発令されました。岩手県の久慈港で0.8m、宮城県内でも仙台港で0.3m、石巻市鮎川で0.2mなどの津波を観測しました。津波による直接的な越水や浸水被害は報告されておらず、発令されていた津波警報および津波注意報は、20日の23時45分にすべて解除されています。
気象庁と内閣府は、19時30分に運用開始以来2度目の「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表しました。今回の地震よりもさらに規模の大きな「後発地震」が発生する可能性が、平時よりも相対的に高まっているとする強い注意喚起です。4月27日17時00分まで(地震発生から1週間程度)継続します。対象地域は北海道から千葉県にかけての7道県182市町村(宮城県内は全域が対象です)。
<2026年4月19日>福島県復興祈念公園の開園
東日本大震災および原子力災害から15年となる節目に合わせ、双葉町と浪江町にまたがる「福島県復興祈念公園」が4月25日にいよいよ全面開園を迎えます。犠牲者への追悼と鎮魂、原子力災害という世界でも類を見ない甚大な被害から立ち上がり、環境再生と地域の復興に向かって進み続ける福島の姿と、その強い意志を国内外に示す象徴としての意義を持ちます。
公園内から一望できる景観や、周辺に残る震災遺構(浪江町の請戸小学校跡など)と一体となり、津波の脅威と原子力災害の現実、そこから得た教訓を後世に、そして世界中に伝える役割を担います。また、海や復興の象徴となる花々が広がる空間を通じて、地元に帰還した住民、新たな移住者、そして県内外からの訪問者が集い、想いを寄せ合い、交流するプラットフォームとなります。さらに、福島の「影(災害の現実と教訓)」と「光(復興への挑戦)」の両方をありのままに学ぶ「ホープツーリズム」の重要な目的地となります。教育旅行(修学旅行)や企業研修の受け入れを通じて、浜通り地域への交流人口・関係人口の拡大に寄与することが期待されています。
公園が位置する双葉町・浪江町周辺は、今も帰還困難区域が残る場所があり、生活環境の再建や人口回復は途上にあります。巨大な祈念公園が単なるモニュメントで終わるのではなく、周辺地域の実質的な生活再生や経済復興にいかに波及効果をもたらすかが問われています。
<2026年4月12日>熊本地震から10年
2016年4月に発生した熊本地震から10年の節目を迎えます。観測史上初めて震度7の揺れが2度発生(14日と16日)するという未曽有の災害は、これまでの地震の常識を覆す側面が多く、日本の防災対策に大きな影響を与えました。
最初の大きな揺れ(前震)で持ちこたえた家屋が、2日後のさらに大きな揺れ(本震)で倒壊するケースが多発しました。これにより、現行の耐震基準(1回の大きな地震に耐える想定)の見直しや、複数回の強い揺れを想定した検証が進められるようになりました。また、活断層型地震への警戒が高まり、日本全国どこでも未知の活断層による直下型地震が起きる可能性があるという認識が広まりました。
車中泊によるエコノミークラス症候群での関連死が相次ぎました。これを教訓に、避難所におけるT(トイレ)、K(キッチン・温かい食事)、B(ベッド・段ボールベッド等)の早期整備など避難所環境の改善(TKBの重要性)が全国的な標準として認識されるようになりました。
交通インフラや災害公営住宅の整備などハード面の復興は大部分で完了。復興のシンボルである熊本城は、2021年に天守閣の復旧が完了し、内部公開が再開されましたが、石垣など城全体の完全復旧には約30年かかるとされており、現在も修復作業が続いています。
<2026年4月5日>災害支援学生ボランティア活動について
新学期を迎えました。本日は、東日本大震災を契機に設立され、現在も活発に活動を続けている東北大学と福島大学の学生ボランティア団体の活動を紹介させて頂きます。
1.東北大学SCRUMは「課外・ボランティア活動支援センター」に所属する学生ボランティアスタッフ組織です。ボランティアを「したい学生」と「している団体」をつなぐ窓口(中間支援)として、合同説明会の企画や情報発信を行っています。さらに、石巻市・大川小学校での語り部ガイド(震災伝承活動)、災害時の緊急支援活動、仙台市内の復興公営住宅でのコミュニティ支援(サロン活動)などを実施しています。
2.東北大学復興youthは、学内で唯一「福島県」に特化して活動しており、東日本大震災および原発事故からの復興支援だけでなく、福島県のポジティブな魅力発信まで幅広く行っています。Myしいたけプロジェクトでは、 原発事故の影響を受けた地域の農業や森林再生を支えるため、三春町のしいたけ農家と連携し、アプリ開発や教育プログラムを企画して農業の魅力を発信しており、3月にはチャレンジ・アワードで高い評価を受けています。また、大熊町でフィンランド発祥のスポーツ「モルック」をみんなで作って遊ぶイベントを主催するなど、住民の方々と直接触れ合う温かい活動を継続しています。
3.福島大学災害ボランティアセンターは、災害支援活動を行う団体です。東日本大震災や原発事故の被災地支援だけでなく、全国各地の豪雨災害などでのボランティア派遣、仮設住宅での足湯ボランティアや交流活動、平時における防災・減災の啓発活動などを幅広く行っています。
東北の被災地にある国立大学同士として、学生間のネットワーク形成や学びの共有を目的とした連携活動も定期的に行っています。
<2026年3月29日>仙台防災未来フォーラム2026 振り返り
今年で12回目を迎えるこのフォーラムは、市民が防災を学び、日頃の活動を発信する仙台市主催の一大イベントです。会場は仙台国際センター展示棟、仙臺緑彩館。
今年のテーマは「東日本大震災から15年 つなぐ想い、つむぐ未来」で、地域団体、企業、大学など、過去最多となる延べ176団体が参加。5,000名近い参加がありました。今回の概要と、特に注目すべき3つのポイントをまとめました。
1. 震災15年の節目と、次世代への「伝承」
今年は東日本大震災から15年という大きな節目であるため、記憶の風化を防ぎ、教訓を未来へどう繋ぐかが最大のテーマでした。河北新報社・みやぎ防災・減災円卓会議による震災伝承のセッション、東北大学災害科学国際研究所によるシンポジウム「いま語るべきこと、伝えるべきこと、そしてこれから」や、高校生たちによる防災教育の発表など、震災を「過去の出来事」で終わらせず、次世代の「自分事」として捉え直すためのプログラムが数多く展開されました。
2. 地震だけじゃない!気候変動・水害への備えと「防災DX」
これまでの震災復興に加え、近年激甚化している気候変動や水害など、多様なリスクに備える包括的な内容へと進化しています。また、最新テクノロジーの活用(防災DX)も大きな見どころでした。避難所におけるエネルギーの効率的な運用システムや、IoTを活用した監視観測パッケージなど、デジタル技術を使って地域レジリエンスを高める企業の最新成果が多く発表されました。
3. 誰一人取り残さない「インクルーシブ防災」と「心のケア」
多様な人々のニーズに寄り添う、細やかな防災の取り組みが目立つのも今年の特徴です。例えば、精神障害や発達障害のある方向けのシミュレーションブック「せんだい安心ナビ」の紹介ブースや、「心の防災・予防的取り組み」をテーマにしたワークショップなど、ハード面(設備)だけでなくソフト面(心理・福祉)の防災力が強調されています。
今年のフォーラムは、震災から15年という「過去の教訓」をベースにしながらも、気候変動や最新技術(DX)、多様性(インクルーシブ)といった「これからの未来の防災」へと視点を大きく広げていきました。
https://news.web.nhk/newsweb/na/nb-6000035528
<2026年3月22日>ギビング・キャンペーン(Giving Campaign)について
このGCは、全国の大学や高等専門学校の学生団体(部活動、サークル、研究室など)の活動資金を集めるための、日本最大級のオンラインチャリティーイベントです。主に株式会社Alumnote(アルムノート)が企画・運営し、文部科学省なども後援しています。学生たちがスポーツや研究、文化活動に打ち込めるよう、社会全体で応援するエコシステムを作ることが目的です。主な活動の仕組みは以下のようになっています。
・「応援票(投票)」による資金獲得(完全無料)
従来のクラウドファンディングとは異なる最大の特徴です。特設サイトから、応援したい学生団体を1つ選んで「投票」します。学生団体は、獲得した応援票の数などに応じて、キャンペーンに賛同するパートナー企業から活動資金(協賛金)を受け取ることができます。支援者はお金を出さなくても、1票投じるだけで学生の金銭的支援に貢献できます。
・直接の「寄付」による支援
投票に加えて、1,000円程度から直接寄付を行うことも可能です。クレジットカードやスマホ決済が使え、集まった寄付金は大学の基金などを通じて、その団体の備品購入や遠征費などに100%充てられます。
・応援メッセージの送信
投票や寄付を行う際、学生へ温かい応援コメントを送ることができます。学生たちにとって、自分たちの活動を応援してくれる人がいると実感できる大きなモチベーションになっています。
これはスタートアップ企業が始めた取り組みですが、現在では東京大学や京都大学、東北大学といった国立大学から、全国各地の公立・私立大学まで110校以上、約2,800もの学生団体が参加する巨大なイベントに成長しています。
https://www.giving-campaign.jp
<2026年3月15日>震災応援歌について
復興支援・チャリティーとして制作された代表曲
・「花は咲く」/花は咲くプロジェクト
NHKの東日本大震災復興支援ソングとして制作されました。宮城県出身の岩井俊二さんが作詞、菅野よう子さんが作曲を担当し、東北ゆかりの著名人が多数参加していました。震災を語り継ぐ上で最も象徴的で、現在でも広く歌い継がれている楽曲です。
・「Rising Sun」/EXILE
「日本を元気に」というテーマのもと、東日本大震災の復興支援チャリティーソングとして発表されました。「いつかまた陽は昇る」という力強いメッセージとアップテンポなメロディーが、多くの人を勇気づけました。
・「Let's try again」/チーム・アミューズ!!
サザンオールスターズの桑田佳祐さんの呼びかけにより、福山雅治さんやポルノグラフィティ、Perfumeなど、同じ事務所に所属するアーティストが結集して制作されたチャリティー楽曲です。
そして、今月「NHK東日本大震災15年 震災伝承ソング」として発表されたのが、ゆずの「幾重(いくえ) 」です。背中を押す「応援歌」としての側面も持ちつつ、震災の記憶を未来へつなぐ「伝承」を深く意識したテーマになっています。東日本大震災から15年を迎えるにあたり、NHK仙台放送局からのオファーを受けて制作されました。ゆずの二人が実際に宮城県石巻市や、福島県双葉町・浪江町などに足を運び、震災と向き合い続ける現地の方々と語り合って生まれた楽曲です。励ましの歌にとどまらず、人々が重ねてきた15年の日々や痛み、それぞれの歩みで未来を拓いていく姿を、優しく慈しむように綴ったメッセージソングとなっています。3月11日に発売されたニューアルバム『心音(しんおん)』に収録されています。
<2026年3月8日>東日本大震災から15年
3月11日で、東日本大震災から15年という大きな節目を迎えます。ハード面(防潮堤や道路など)の復興整備が進む一方で、時間の経過とともにソフト面や社会構造の変化に起因する新たな課題が浮き彫りになっています。
1.震災の記憶の「風化」と「未経験世代」の増加
15年という時間は、記憶が薄れてしまう十分な長さです。現在の中学生以下は、震災後に生まれたか記憶がない世代です。被災地以外の地域では、防災備蓄の更新が滞ったり、避難訓練の参加率が下がったりするなど、危機感の薄れが懸念されています。
2.「高齢化・過疎化」による地域防災力の低下
被災地である東北沿岸部をはじめ、日本全体で進行している課題です。避難支援の限界として、住民の高齢化が進み、「誰が誰を助けるか」という共助(地域での助け合い)が物理的に難しくなっています。また、自力で避難できない高齢者や障害者ごとの避難計画「個別避難計画」の策定が急がれていますが、作成の担い手不足などにより進捗に地域差があります。
3.「ハード整備」が生む新たなリスク(安心感のパラドックス)
巨大な防潮堤やかさ上げ地が完成したことで、逆にリスクが生じているという指摘もあります。「立派な堤防があるから大丈夫」という心理が働き、津波警報が出ても避難行動が遅れる恐れがあります。ハードはあくまで「時間稼ぎ」であり、避難が最優先であるという意識の再徹底が必要です。防潮堤により海が見えなくなり、視覚的な異変(引き潮や白波など)に気づきにくくなっている状況もあります。
4.南海トラフ・首都直下地震への応用と「事前復興」
東日本大震災の教訓を、次の巨大災害にどう活かすかというフェーズに入っています。東日本大震災では広域避難が課題となりました。首都直下や南海トラフでは、より桁違いの避難者数が予想されるため、具体的な受け入れ体制の整備が急務です。災害が起きてから考えるのではなく、被害を最小限に抑え、どう復興するかを事前に計画しておく「事前復興」のまちづくりが求められています。
<2026年3月1日>東日本大震災15年復興・創生シンポジウム~他人事から自分事化へ
https://irides.tohoku.ac.jp/media/files/_u/topic/file/20260213_report_rev.pdf
「東日本大震災15年 復興・創生シンポジウム~他人事から自分事へ~」(東北大学、読売新聞社などの共催)を2月13日、東京都内で開催しました。
東北大学湯上理事・副学長の挨拶に続き、読売新聞グループ本社山口寿一社長から「被災地の復旧・復興、教訓の共有、防災への取り組みに役に立ちたいと、取材報道やシンポジウムなどを積み重ねてきた。皆さんにも議論を自分事と受け止めてほしい」とご挨拶いただきました。第1部として、復興構想会議副議長を務められた
東京大学先端科学技術研究センターフェローの御厨貴先生と国土技術研究センターの徳山日出男・理事長から基調講演をいただきました。震災時に国土交通省東北地方整備局長だった徳山氏は、いち早い道路啓開の「くしの歯作戦」を指揮した経験を紹介し、その上でリスクマネージメントこそが人の生死を決める要因になると日頃の備えの重要性を訴えました。第2部では、復興庁の古橋審議官から、震災から現在までの状況を、私から震災の複合性、復興7原則の紹介と伝承の重要性、災害科学コースの設置など東北大学の復興への取組を紹介、災害研の栗山所長から自分事化(行動変容)の難しさと大切さなどの報告がありました。第3部はパネルディスカッションで、4名の大学生が被災地支援や防災活動の報告、自分事化に向けて一人ひとりができることについてのメッセージを発信してくれました。
<2026年2月22日>動都と防災について
「動都(どうと)」という言葉は、主に建築家の坂茂(ばんしげる)氏などが提唱している「移動し続ける首都」という新しい都市計画・防災の概念で、首都機能を1カ所に固定せず、数年ごとに地方都市へ移動させ続けるというアイデアで、オリンピックのように、4〜5年ごとに手を挙げた地方都市へ国会や省庁などの「首都機能」を移転させます。恒久的な新しい都市を作る「遷都」とは異なり、「仮設(テンポラリー)」の施設を使って移動し続ける点が特徴です。
坂茂さんは、紙管などを使った「避難所用間仕切り」など、迅速に設置できる仮設建築(災害支援建築)で世界的にも有名で、災害科学国際研究所の特任教授(客員)にもなっていただいています。「動都」の構想が提案される最大の理由の一つが「防災(特に首都直下地震などのリスク分散)」で、「首都を固定することで生じる『全滅リスク』を、首都を動かし続けることで回避し、日本中に防災拠点を増やしていく」という戦略です。
①東京一極集中のリスク回避
現在、政治・経済・情報のすべてが東京に集中しており、首都直下地震が発生した場合、国の指揮命令系統が麻痺し、日本全体が機能不全に陥る「共倒れ」のリスクがあります。首都機能を定期的に東京から動かすことで、物理的にリスクを分散させます。
②「バックアップ都市」の増加(強靭化)
首都機能を受け入れる都市(ホストシティ)は、国会機能やセキュリティ、通信インフラを整備する必要があります。「動都」が巡回することで、高度なインフラと防災機能を持つ都市が日本全国に増えていきます。結果として、どこかの都市が被災しても、他の都市がすぐに代替機能(バックアップ)を果たせるようになり、国全体の「災害への強さ(レジリエンス)」が高まります。
③復興・対応の迅速化
「動都」では、重厚長大なコンクリート庁舎を建てるのではなく、リサイクル可能で移動・建設が容易な建築技術を用います。この「素早く作れて、移動できる技術」自体が、災害時の仮設住宅や拠点設営の予行演習となり、防災技術の向上につながります。
<2026年2月15日>次世代防災テクノロジー体験DAYについて
2月1日(日)、アクアイグニス仙台主催のイベント「次世代防災テクノロジー体験DAY」に参加してきました。トークセッションでは、「次世代の防災とテクノロジーが守る、私たちの生活」を大きなテーマに、4名の方から最新の知見を紹介いただき、テクノロジーの可能性、そして、現場や生活者の視点を交えながら、もしもの時に備えるだけでなく、「普段の暮らしの質を高めながら、防災につなげていく」(フェーズフリー)をテーマに話し合いが行われました。
・PicoCELAの中西広祐さん:災害備蓄用Wi-Fi「Sona-L™」(通常よりも広域で繋がりやすく、災害時に通信が途絶えても、わずか15分でWi-Fi環境を構築できる最新技術)
・スズキ株式会社の前田さん:避難誘導モビリティ「MITRA」(災害を検知すると自動で「避難誘導モード(光と音声)」に切り替わる次世代の誘導技術で、段差や急な斜面でも使用可能な走破性と信頼性の優れたモビリティ)
・中央情報大学校の佐藤琉輝さん:自ら開発した避難所受付のデジタル化体験「PicoRESQ(ピコレスキュー)」
・クラボウテクノシステムの山本実さん:紡績クラボウでのノウハウを活かした、安全な管理システムや蓄電池の開発
それらのテクノロジーの展示や体験をはじめ、家族で楽しめるクイズスタンプラリーなどもあり、お子様連れで楽しみながら防災意識を高められたと思います。
https://sendai-tushin.jp/2026/01/29/post-482320/
<2026年2月8日>宮城県防災教育副読本「未来へのきずな」
「未来へのきずな」は、宮城県教育委員会が作成した「宮城県防災教育副読本」のことです。東日本大震災の教訓を次世代へ語り継ぎ、子供たちが自らの命を守れるようにするために制作されました。特に、震災を経験していない世代や記憶が薄い世代に対し、「自らの命を守る力(自助)」と「共に助け合う心(共助)」を育むこと。また、震災の記憶を風化させず、未来へつなぐことを目指しており、子供の成長に合わせて内容が工夫されています。
私は初版から監修を担当させていただいています。津波工学や災害科学の知見に基づき、①科学的なメカニズムの理解: 地震や津波がなぜ起こるのか、どのような特徴があるのかを、子供の発達段階に合わせて科学的に正しく解説しています。②実践的な避難行動: 「もし学校にいたら」「登下校中だったら」など、具体的なシチュエーションでの身の守り方を重視しています。③教訓の伝承: 単なる防災マニュアルにとどまらず、被災体験や復興の歩みを取り上げ、「なぜ逃げなければならないのか」という根本的な意識(防災意識の内面化)を育てる構成になっています。多くの学校現場で活用されており、宮城県教育委員会や各学校から具体的な実践事例が報告されています。単に「読む」だけでなく、教科の授業(社会科・道徳など)や、避難訓練との組み合わせなど、多角的に利用されているのが特徴で、ご家庭での防災教育や、地域の防災活動の資料としても活用できます。この副読本は、宮城県の公式ウェブサイトでPDFデータとして一般公開されており、誰でも閲覧・ダウンロードが可能です。
https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/hotai/fukudokuhon.html
<2026年2月1日>バルーン型津波避難標識の実証研究について
東北大学大学院 津波工学研究室博士課程 成田峻之輔さんの「津波バルーンプロジェクト」を紹介させて頂きます。「視覚的な避難誘導」に焦点を当てた実用化研究で、コンセプトは「現代版の狼煙(のろし)」です。東日本大震災の教訓に加え、自身が観光で鎌倉を訪れた際に「土地勘のない観光地で津波が来たら、どこに逃げればいいか全くわからない」と恐怖を感じたことをきっかけにこの研究を始めたそうです。デジタル技術(スマホの地図など)に頼らず、顔を上げれば誰でも直感的に「あそこが安全だ」とわかるアナログな強さを重視しています。研究・実証実験の具体的な内容としては
A. 視認性の検証/「どれくらい離れた距離から見えるか」「文字は読めるか」を検証しました。バルーン自体は500m〜1km離れても気づくことができるが、垂れ幕の文字を読むにはかなり近づく必要があることなどが判明しました。 これを受けて、細かい文字情報よりも、「赤いバルーン=避難場所」という共通認識(ピクトグラム化)を作ることの重要性を提唱しています。
B. VR(仮想現実)を用いた避難シミュレーション/VR空間に鎌倉市などの街並みを再現し、被験者にHMD(ヘッドマウントディスプレイ)をつけて避難してもらっています。バルーンがある場合とない場合で、「避難開始までの迷う時間」や「避難完了までの時間」がどう変わるかをデータ化しました。バルーンがあることで、特に土地勘のない人の避難判断が早まる効果が実証されています。
C. 自動掲揚システムの開発/津波警報が出た瞬間に人が屋上に行ってバルーンを揚げるのは危険です。そのため、無人で自動的にガスが充填され、3分以内に浮上する装置(通称:自動掲揚機)の開発を進めています。最近では、静岡市清水区の商業施設などでも実証実験を行い、実用化に向けた課題(風への耐久性やコストダウン)を洗い出しています。
2月16日午後2時から夜間のライトアップも計画、中野5丁目津波避難タワーでの実証実験を行う予定です。クラウドファンディングで資金を集めたり、企業と連携したりと、研究室の枠を超えて「社会実装」に非常に積極的です。
<2026年1月25日>なぜM9級カムチャツカ巨大地震は73年で繰り返し発生したのか?
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2025/12/press20251209-02-Kamchatka.html
筑波大学、東北大学(遠田教授)らのグループ研究成果です。
1952年にマグニチュード(M)9級の超巨大地震が起きたカムチャツカ半島沖で今年7月30日、再びM9級の地震が発生しました。通常400年以上と言われるサイクルが僅か73年で発生したことになります。この地震学の常識を覆す発生間隔の短さの謎を解明するため、その破壊過程を精密に解析し、巨大地震が古典的な地震サイクルモデルでは説明が困難な挙動をしていることを示しました。73年間で蓄積されたすべり遅れ(約6m)を大きく超える9〜12mの大すべりが広い範囲で発生していたこと、さらに大すべり域の内部で断層すべりが2度加速していたことが明らかになりました。この2度の加速が生じた領域では、地震後にプレート収束方向とは逆向きの低角正断層型の余震が、プレート境界付近に集中して発生していることもわかりました。これは、本震時にオーバーシュート(断層すべりの行き過ぎ)が発生し、断層をずらす力が反転する現象が発生したことを示唆します。これらから研究チームは、1952年の地震で解消されずに残った古いひずみに、1952年以降のひずみが加わって蓄積され、それが2025年の地震でほぼ解放されたと結論づけました。
また、加えて本研究では、1952年と2025年の津波記録の比較解析も行いました。1952年のアナログ記録をデジタル化した津波波形と2025年の最新データを比較すると、発生後約1時間までの初期津波形が類似していることがわかりました。これは両地震の主要な津波生成域がほぼ同じであったことを意味します。本研究は、破壊物理の違いなどにより、巨大地震後に残留するひずみの量には大きな違いが生じ、結果として巨大地震の周期が乱れ、再来間隔が規則的でなくなることを明らかにしました。現実の巨大地震は、古典的な地震サイクルモデルでは説明が難しい複雑な挙動を示すということであり、南海トラフを含む世界の沈み込み帯で実施されている長期地震予測モデルに重大な示唆を与えるものです。
<2026年1月18日>今年の防災関係の動き
1.能登半島地震から2年、復興のフェーズ移行
1月1日で能登半島地震から丸2年が経過しました。今年は復興の段階が「瓦礫撤去・仮設住宅」から「本格的な再建・まちづくり」へと移ります。
課題: 公費解体はおおむね進んでいますが、人口流出(震災前から2割減など)や、なりわい(産業)の再生が深刻な課題です。
二重被災への対応: 2024年の豪雨災害との「二重被災」を受けた地域では、より長期的な支援が必要とされています。
2.【6月頃〜】新しい防災気象情報「危険警報」の運用開始
これが今年、私たちの生活に最も直接関わる変化です。梅雨や台風シーズン(出水期)から、避難情報の名前や仕組みが変わります。これまでの「土砂災害警戒情報」や「氾濫危険情報」など、名前がバラバラでわかりにくかった情報が、「危険警報(レベル4)」という名称に統一される予定です。「〇〇地区に危険警報」と出たら、「全員避難」の合図になります。これまで以上にシンプルで危機感が伝わりやすい名称になります。
また、これまで「大雨」などに限られていた「特別警報」(警戒レベル5相当)の対象が拡大され、「洪水」や「高潮」も加わる見通しです。
3.【年度内】「防災庁」の創設準備
国の行政組織として、「防災庁」の設置に向けた動きが本格化します。
司令塔の統合: これまで内閣府や国交省などに分散していた防災対応が一本化され、災害時の政府対応がよりスピーディーになることが期待されています。
事前防災の強化: 起きてからの対応だけでなく、「起きる前の備え(避難所の環境改善、インフラ強化)」に予算や権限が割かれるようになります。
4.トレンド:住宅・個人の「エネルギー自立」
防災テック(DX)の分野では、停電対策がさらに「日常化」します。新築住宅やリフォームにおいて、太陽光発電とセットで大型蓄電池(家丸ごとの電気をバックアップできるもの)や、電気自動車(EV)を電源として使うV2Hシステムの導入が、標準的な「防災装備」としてさらに普及する年になると思います。
<2026年1月11日>東日本大震災15年シンポジウム~他人事から自分事化へ
今年3月11日には東日本大震災から15年の節目を迎えます。
東日本大震災から10年の節目はコロナ禍により十分な検証の機会を持つことができませんでしたが、震災の教訓を風化させず、将来の災害への備えを強化するため、東北大学と読売新聞社の共催により「東日本大震災15年 復興・創生シンポジウム」を下記の通り開催する運びとなりました。本シンポジウムでは「他人事から自分事へ - 東日本大震災から15年、迫りくる巨大地震に私ができること」をテーマに、震災の経験と教訓を振り返り、復興・創生の現状と防災への課題を共有し、特に若い世代を含めた「自分事化」を促進する議論を行います。
・日時:2026年2月13日(金)13:00〜
・会場:イイノホール(東京都千代田区内幸町2-1-1)
・主催:東北大学、読売新聞社、国土技術研究センター、一般財団法人3.11伝承ロード推進機構
1. 基調講演「東日本大震災が残した最大の教訓とは? 出来たこと・課題に残ったこと」
御厨貴・東京大学先端科学技術研究センターフェロー
徳山日出男・一般社団法人国土技術研究センター理事長
2. 報告「復興・創生の現状と次への防災・減災の課題」
古橋季良・復興庁審議官
今村文彦・東北大学副学長
栗山進一・東北大学災害科学国際研究所所長
3.パネルディスカッション 一人ひとりの「自分事化」でつくる減災社会
ファシリテーター:福島洋(東北大准教授)
パネリスト:東北大・福島大・高知大・首都圏の大学からボランティア団体学生代表、ゲルスタ・ユリア(東北大准教授)
対面のみでありますが、是非御参加下さい。
参加の登録は以下になります。
https://yab-lp.yomiuri.co.jp/bousai2026/
<2026年1月4日>2026年を迎えて
2026年は、東日本大震災や熊本地震など過去の災害の「節目」となる重要な年です。また、災害対応の「司令塔」と位置づけられている防災庁が創設される予定です。
・東日本大震災から15年(3月11日):15年が経過し、震災を知らない世代が増える中で、伝承活動や震災遺構の保存やデジタルアーカイブ化(防災DX)の成果が問われます。また、ハード面の復興期間が終了に向かう中、被災者の心のケアやコミュニティ維持などソフト面の課題が挙がります。
・熊本地震から10年(4月14日・16日):熊本城の復旧進捗の確認や、創造的復興(Build Back Better)の検証が行われます。
・能登半島地震(2024年)から2年が経過:「半島防災の難しさ(孤立集落問題)」や「上下水道の耐震化の遅れ」に対し、具体的な対策(空路・海路アクセスの整備、自律分散型インフラの導入など)がどこまで進んでいるかが問われます。
・気象庁は2026年を目処に、線状降水帯の発生予測精度を現在の「府県単位」から、より狭い範囲で、かつ半日程度前から予測できる体制を目指しています。
・マイナンバーカードと避難所の連携も検討されていくと思います。避難所での受付や安否確認にマイナンバーカードを活用するシステムの全国普及が目標の一つとなっています。
・東北大学は、FUKUSHIMAサイエンスパーク浜通り拠点を今年後半に福島県浪江町に設置する予定です。
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2025/07/news20250710-fukushima.html